記事更新日 : 2017.3.28

堀 佐知子さん

蒲生ふるさと交流館 施設責任者

家族の支えで地域を支える。

蒲生小学校の北隣りにある「蒲生ふるさと交流館」は、2009年に誕生した。

それまでは蒲生保育園としてたくさんの子供たちを育む場所だった。さらに明治期以来、日本初のサムライ会社として有名な「蒲生士族共有社」があった場所でもあり、地域ぐるみで青年の成長を促し支援する場であったことも、この地が持つ意味を考える上で、とても因縁めいたストーリーを感じる。

堀佐知子さんは、この蒲生ふるさと交流館の施設責任者だ。2011年の5月の赴任以来、館の管理業務を担っている。

仕事が自分を成長させてくれた。

館内をチェックする堀さん

「朝、交流館に出勤したらまずは館内をチェック、掃除をしたり、花を飾ったりしてから事務作業に入ります。」と堀さん。
施設利用者などへの電話対応や資料作成、データ集計、文書作成などが中心だが、施設管理者であるNPO法人Lab蒲生郷主催のイベントである「カモコレ」などのイベントがある時期などは、イベントのチラシ作成や予約受付、ホームページやフェイスブックなどでの情報発信などが加わり、多忙を極める。

しかし「仕事で一番楽しい瞬間はイベントが終わったとき。」と語る堀さん。
イベントは色んな人が関わる。様々な人の価値観やこだわりを間近に見て、これまでなんでも白黒つけたかった性格だった自身の考えに巾と奥行きが出て来たように感じるという。職場での経験が堀さんを成長させたのかもしれない。

想定外の進路変更。

堀さんは鹿児島市内で生まれ育った。体を動かすことが大好きで、中学・高校時代は、バスケット部、バトミントン部で活躍。中学3年の頃、受験への心労などから激ヤセ、それがきっかけで、体の健康のこと、食に関する関心が高まり、栄養学やマクロビオティック(注1)に興味を持ち、高校1年の頃には玄米の弁当を持参する「早熟」な生徒だった。

希望する大学にすすみ臨床心理士になりたかったが失敗。併願で受けていた短大の食物栄養科に合格、進学した。もともと興味のあった食物の事を学び、学校栄養士を目指していたが、友人の「おつきあい」で受験した大手住宅メーカーの就職試験に、40倍の難関を乗り越え「どういうわけか!(本人談)」合格してしまう。

注1 玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とした独自の食事法。

鍛えられた会社員時代。

就職した会社では、接客、マナー、仕事に対する姿勢など、ユーザーと直接対応する職種ならではの様々な経験を積んだ。お客さんに商品を説明するためのプレゼン資料や見積もりを作成するために深夜まで残業することもしばしば。結果として住宅メーカーの6年間で堀さんは「相当、鍛えられました。」と笑う。様々な部署の仕事をまかされ、経験をすることが、今思えば今現在とても役だっているという。

関連会社の社員だったご主人と知り合ったのもこの頃、その後結婚し、出産を期に退社する。ご主人の実家がある蒲生町に住宅を建てたことで、初めての蒲生生活が始まった。

さみしかった蒲生生活。

家を建てて暮らし始めた時は、鹿児島市内で疲れた体を癒してくれる、自然あふれる環境として最高だった。しかし最初の長男の子育てを始めたときに、仕事を辞めた喪失感と、地域などからの孤独感にさいなまれた。友人もまだいなく、さみしかったという。そうした時、堀さんは持ち前の前向きな気持ちで乗り切ろうとした。まずは子どもを連れて公園に行くことから始めた。きっと同じ様な思いをしているお母さんが絶対いるはず。そう信じて通ううちに、一人、また一人と仲間と出会い、ママ友が増えて行った。

子どもを持つお母さんが集まる「遊ぼう会」などにも積極的に参加し、子どもの部活動のサポートにも全力を注いだ。いまでは「かなりうるさい親です。」というほどに成長。子育てを通じて仲間や友人が増えたことも、生活の充実につながっている。

親子で楽しめる街・蒲生。

「蒲生って人がいいんです。ぎすぎすしない、おだやかな人が多い。」そう堀さんは蒲生の魅力を語る。最近では、アーティストやミュージシャンなどが移り住んで来て面白い街になってきている。そういう街では、他ではちょっと違う経験が親子でできるんじゃないか?と感じている。小さいお子さんを持つお母さんには、ぜひそういった親子で参加出来るイベントなどへの参加を勧めるという。


蒲生でのおすすめの過ごしかたは?

「中央公園がおすすめです。遊具もたくさんあって、春には桜も楽しめます。あとは交流館で、板橋一歩の彫刻を堪能したあと、のんびりと自家焙煎のコーヒーはいかが?」

「交流館はまだだま情報発信が足らない。」と堀さん。今後は昔のお寺のように、いつも自然と子ども達が集まって来て、遊んで勝手に帰る。そんな場所にしたい、と考えている。

堀さんがいる限り、そうした光景が実現する日も近い。

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