記事更新日 : 2017.3.4

フォンタナの丘かもう

健康の駅にようこそ!

国道10号線、姶良市の重富交差点から、蒲生方面へ15分ほど進むと左手に横に長い大きな施設が見えてくる。それがフォンタナの丘かもうだ。外観は懐かしい昔の小学校のようなデザイン、エントランスから中に入ると大きな吹き抜けになっていて、蒲生の特産であるメアサ杉の太い柱がロビーの中央にシンボル的にそびえ、多くの梁とともに大きな屋根を支えており、まさに木が放つオーラに包まれるような不思議な気持ちになる。

フォンタナの丘かもうは平成2011年10月にオープン、2016年10月には5周年を迎えた。全国的にも20カ所しか無い珍しい施設「健康の駅」として、年々利用者が増え続け、人気を博している。

癒しにこだわりつくした施設づくり。

施設の代表であるフォンタナの丘かもう株式会社の山野秀明社長は、まだ蒲生が合併前の旧町時代であるかなり以前から、蒲生地域の将来像を見据えたとき、高齢化社会の到来やきびしい経済状況などを予感、いつか蒲生の自然の良さを活かした、高齢者をはじめ人々を癒し、健康にする施設を創りたいと考えていた。その後、県の木づかい推進事業など地元の木を大切にした木造の建物を建設する事業などのきっかけがあり、旧蒲生町の町長(当時)と相談しながら構想をねること8年、ついにオープンにこぎつけた。

施設敷地から3本の源泉を掘り、それぞれことなる泉質をブレンド、非常に高い温泉成分を誇る温泉は、宿泊者のみならず一般客もいつでも受け入れ人気となっている。湿度を一定に保ち、シックハウス症候群等の原因となる物質を吸収するとされる珪藻土の壁や木材、畳をふんだんに使用した宿泊室には、ヒノキ風呂の温泉内風呂も全ての部屋に完備されるなどのこだわりようだ。広い廊下は車いすの方同士が楽々に離合できるサイズになるよう設計されている。

レストランでは、地元の有機野菜や毎日仕入れに行くという県内産の鮮魚をつかったバイキングが人気であり、加工品や化学調味料などを使わない安心安全な料理を提供するという方針が徹底されている。全てはお客様に健康と癒しを提供したいという思いのためだ。

薬草でまちおこしを!

山野氏はある勉強会で薬草の効能を知る機会を得たことをきっかけに、ひとつの構想を思いつく。

蒲生の健康づくりを考えるとき、姶良市および蒲生町には多くの有機農家が多く活動することに着目、そうした生産者にもっと食べる薬草を栽培してもらう事で、地域が元気になるのでは?と考えた。そして自分たちで薬草の生産、販売、加工、流通まで一貫して行うことで、地域を健康・経済の両面で支えて行きたいと、2015年に鹿児島県薬草研究会を結成、2016年9月には第5回全国薬草シンポジウムinあいらを開催、様々なイベントも実施し話題づくりにも専心し、フォンタナの丘かもうの存在意義を更に高めた。同時に薬草をつかったリキュールの商品化にも成功、ドクダミ、くず、ハチミツなどを原料とした「碧羅の酒」(へきらのさけ)という商品の販売を開始。「果てしなく澄み切った青空のような」という意味を持つこの酒は、余計なものを使わず、自分たちで研究開発、製造まで行うまでにこだわった。現在、絶賛販売中である。

希望ある未来をみつめて。

2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない超高齢社会になることが予想されている。

山野氏はこれまで日本の経済成長を支え懸命に働いてきた人々がお荷物になるのではなく、彼らこそ認められ、求められる人材になって欲しい。そのためには地域共生の仕組みをつくり、健康でいつまでも働くことのできる環境づくりを一刻も早く作り上げたいと考えている。簡単に言えば、老齢になっても薬のいらない生活、いつまでも楽しく働けて、社会から求められるイメージ。

薬草には地域を活性化させるポテンシャルがあると信じ、その活動拠点としてフォンタナの丘かもうをもっと人々が集まり、健康と幸福をわかちあえる場となるような「健康の村」構想を具現化するために、山野氏の目は遠くない未来を見据えている。


大きい地図を見る

一覧へ戻る